今でこそ「自律神経と心の不調に特化した鍼灸院」を運営し、日々多くの患者さまの施術にあたっていますが、私はもともと生まれつき強い人間でも、特別に健康だったわけでもありません。
むしろ、私自身が長い間「心と体の不調」に苦しんできました。
20代のころ、私は強い責任感と完璧主義に追い込まれ、気づけば睡眠障害、食欲不振、動悸、不安感に悩まされるようになっていました。
病院では「うつ状態」「自律神経失調症」と診断され、薬を処方されましたが、症状は一進一退。
朝はベッドから起き上がるのもつらく、夜は頭の中が休まらず眠れない。
仕事も人間関係も、すべてが重荷に感じられる日々。
「自分はもう社会で生きていけないのではないか」
そんな絶望感に押しつぶされそうになりながら、出口の見えない暗闇をさまよっていました。
そんなとき、ある友人の紹介で出会ったのが鍼灸でした。
最初は半信半疑でした。
「本当に、細い鍼を打つだけで、心が楽になるのだろうか?」
しかし、実際に鍼を受けてみると、私の中で小さな変化が起こりました。
鍼を打たれた瞬間の鋭さではなく、じんわりと体の奥から温まるような不思議な感覚。
そして施術が終わったあと、心と体にふっと力が抜けたような、静かな安らぎが訪れたのです。
それは、薬で一時的に症状を抑え込む感覚とはまったく違いました。
もっと根本的に、深いところから体と心を立て直してくれるような手応えでした。
その日から、私は定期的に鍼灸を受けるようになりました。
すると、少しずつですが眠れる日が増え、食事を楽しめるようになり、人との会話に笑顔が戻ってきました。
「ああ、自分はまたやり直せるかもしれない」
そう思わせてくれたのは、鍼灸との出会いでした。
鍼灸の力に助けられた私は、やがて強く思うようになりました。
「自分と同じように、心と体の不調に苦しむ人を救いたい」
それが、鍼灸師を志す大きなきっかけでした。
東洋医学は「気・血・陰陽」のバランスを整える学問であり、現代のストレス社会においてまさに必要な視点だと感じました。
実際に学び始めると、経絡やツボの仕組み、五臓六腑のつながり、そして「心身一如」という思想に深く魅了されました。
西洋医学では見落とされがちな「未病」という概念。
つまり病気になる前の不調を整えるという考え方こそ、私がまさに求めていたものでした。
学びを重ねるにつれ、私の中で一つの確信が芽生えました。
「鍼灸は、自律神経や心の不調に苦しむ人にとって、必ず力になれる」
とはいえ、開業に至るまでの道のりは決して平坦ではありませんでした。
「鍼灸で心の不調を改善する」という取り組みは、まだまだ一般的な理解が浅く、周囲の人から「本当に患者さんが来るの?」と心配されることもありました。
しかし私は、自分が体験したあの感動を胸に、迷わず「自律神経と心の専門鍼灸院」として歩み出すことを決めました。
なぜなら、同じように絶望の淵に立たされている人が、必ずどこかにいると知っていたからです。
私の施術は、単に鍼を打つだけではありません。
まずしっかりお話を聞き、患者さまがどんな背景や生活習慣を持ち、どのように不調と向き合ってきたのかを共有していただきます。
私自身が「つらいときに誰にも分かってもらえない苦しみ」を経験しているからこそ、まずは安心して心を開いていただくことを大切にしています。
そして東洋医学の知恵を用いて、自律神経を整え、気血の流れを改善し、心と体が本来持っている回復力を引き出す。
鍼灸には、「やさしく寄り添いながら、静かに底力を取り戻す力」があります。
薬のように一瞬で効くわけではないかもしれません。
ですが、気づけば「あれ?前より眠れている」「最近、不安が減った」という小さな変化が積み重なり、人生そのものを立て直すことができるのです。
もし今、あなたが「眠れない」「不安で仕方ない」「やる気が出ない」「病院に行っても改善しない」と悩んでいるなら、その苦しみはよく分かります。
私も同じように暗闇の中で立ち止まり、出口が見えないと感じた一人だからです。
でも、私は鍼灸に出会い、再び歩き出せるようになりました。
だから今度は、私があなたの力になりたいのです。
心と体は、必ず回復できます。
それを信じることができなかった私が、今こうして鍼灸師としてここに立っていること自体が、その証明だと思っています。
私は「自分が救われた鍼灸を、同じように苦しむ人に届けたい」という思いで、専門鍼灸院を開業しました。
これは私にとって使命であり、生涯をかけて取り組むべき仕事です。
どうか一人で抱え込まないでください。
私自身が歩んできた道のりを知っていただいたうえで、少しでも「ここなら話せるかもしれない」と感じていただけたなら、ぜひ一度ご相談ください。
鍼灸の力で、あなたの心と体が少しずつほどけ、再び笑顔を取り戻せるように――
そのお手伝いをすることが、私が鍼灸師として生きる理由です。