公開日: 2025年5月15日
不妊治療において、子宮内膜の厚さは胚着床の成功率に大きく影響します。子宮内膜が薄い場合、着床が困難になることがあり、適切な厚さ(通常7~12mm)が求められます。近年、鍼灸が血流改善を通じて子宮内膜を厚くする可能性が注目されており、科学的根拠も蓄積されつつあります。本記事では、鍼灸による血流改善のメカニズムと、それが子宮内膜の厚さにどう影響するのかを、西洋医学と東洋医学の視点から解説します。
子宮内膜は、月経周期を通じてホルモン(エストロゲンやプロゲステロン)の影響を受け、増殖・分化します。この過程で、十分な血流が子宮内膜に栄養と酸素を供給し、厚く健康な内膜を形成します。血流が不足すると、子宮内膜の増殖が不十分になり、薄い内膜や着床不全のリスクが高まります。
西洋医学では、子宮動脈や螺旋動脈の血流が子宮内膜の質に影響することが、超音波ドップラー検査などで確認されています。血流抵抗指数(RI)や脈動指数(PI)が低いほど、子宮内膜は良好な状態にあるとされます。一方、東洋医学では、「気血」の流れが子宮の健康を支えると考え、血流停滞(於血)が不妊の原因の一つと捉えます。
鍼灸は、特定の経穴(ツボ)に鍼を刺入し、局所的・全身的な血流を促進します。この効果は、以下のような科学的メカニズムに基づいています。
鍼刺激は末梢神経を活性化し、交感神経と副交感神経のバランスを調整します。これにより、血管平滑筋が弛緩し、血流が改善します。特に、骨盤腔内の血流を司る子宮動脈や卵巣動脈に影響を与える経穴(例:三陰交、関元、子宮)は、不妊治療でよく用いられます。
研究では、鍼灸が一酸化窒素(NO)の産生を促進することが示されています。NOは血管内皮細胞から放出され、血管を拡張させる重要な因子です。2018年の研究(Acupuncture in Medicine)では、鍼灸施術後に子宮動脈の血流速度が上昇し、RIが低下したことが報告されています。
鍼灸は視床下部-下垂体-卵巣軸(HPO軸)に作用し、エストロゲン分泌を促進します。エストロゲンは子宮内膜の増殖を促すだけでなく、血管新生を誘導し、子宮内膜への血流を増加させます。東洋医学では、鍼灸が「腎」の機能を高め、気血を補うことでホルモンバランスを整えるとされます。
子宮内膜の薄さは、慢性炎症や瘢痕組織の影響を受けることがあります。鍼灸は抗炎症作用を持ち、サイトカイン(IL-6、TNF-αなど)の過剰産生を抑制します。これにより、子宮内膜の微環境が改善し、血流と栄養供給が最適化されます。
複数の研究が、鍼灸が子宮内膜の厚さを改善する可能性を示しています。
不妊治療における鍼灸は、月経周期に合わせて個別に設計されます。以下は一般的なアプローチです:
施術頻度は週1~2回、3~6か月継続することで効果が期待されます。患者様の体質(例:気虚、血虚、於血)に応じ、灸や漢方薬を併用する場合もあります。
鍼灸は安全性の高い治療法ですが、専門知識を持つ鍼灸師による施術が重要です。
今後、鍼灸の効果をより詳細に検証する大規模な臨床試験や、血流改善の分子生物学的メカニズムの解明が期待されます。これにより、鍼灸が不妊治療の標準的な補助療法として広く受け入れられる可能性があります。
鍼灸は、血流改善を通じて子宮内膜を厚くし、着床環境を整える科学的根拠を持つ治療法です。神経系、ホルモン、炎症の調節を通じて、子宮動脈の血流を高め、子宮内膜の増殖をサポートします。西洋医学のデータと東洋医学の知見を融合させることで、不妊に悩む方々に新たな希望を提供できるでしょう。
当院では、個々の患者様に最適な治療プランをご提案します。ぜひ一度、ご相談ください。
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